メインコンテンツへ
患者さん向け情報 / 29項目

消化器・肝臓の病気について

消化器内科の診察で話題となることがある病気について、簡潔に事実をご説明します。

01 / 08

胃・腸

胃食道逆流症(GERD)

胃の内容物が食道へ逆流し、胸やけ、酸っぱいものが上がる感じ(呑酸)、胸部や喉の不快感などを繰り返したり、食道粘膜に炎症や傷を生じたりする状態をGERDと呼びます。食後や横になった時に症状が出る方もいますが、感じ方や頻度には個人差があります。胸痛、咳、喉の違和感などは逆流以外の原因でも起こるため、症状だけで診断を確定できるとは限りません。

胃カメラでは食道炎や狭窄などを確認できますが、検査時に粘膜の傷が見られなくても逆流症がないとは言い切れません。症状が続く場合や典型的でない場合には、胃酸以外の原因も含めて再評価します。治療への反応、警告症状、既往歴を踏まえて、薬の見直し、胃カメラ、または一定期間の逆流モニタリングが役立つかを相談します。検査や薬物療法の選択は一律ではなく、目的と結果の限界を確認して決めます。胸やけが軽くなったかだけでなく、食事や睡眠への影響、薬を使った時の変化も記録すると診察で役立ちます。長く続く症状では、薬を継続する利益と必要性を定期的に見直し、症状の再発時にどう対応するかも相談できます。胸痛が新しく強く現れた時は、逆流と自己判断せず、心臓など緊急性のある原因も含めて速やかに評価を受けてください。薬の効果が乏しい場合は、用法や服用時刻を確認し、治療を増やす前に診断の見直しが必要かを話し合います。症状の頻度や誘因は人により異なるため、食事内容、横になるタイミング、夜間症状など気づいた点を診察で共有し、生活上の変更が適切かを検討します。治療を続ける場合も、最小限で有効な方法や定期的な再評価の必要性を担当医と確認してください。

診察で相談すること

症状の種類、頻度、生活への影響、これまでの治療と反応を確認します。飲み込みにくさ、食べ物がつかえる感じ、意図しない体重減少、吐血・黒色便、貧血などがあれば、評価の進め方が変わるため医師に伝えてください。病歴によっては症状に基づく治療を検討し、警告症状がある場合、治療に反応しない場合、診断が不明な場合には胃カメラや逆流検査などを相談します。

専門家向け参考資料: ACG · Acid reflux / GERD

ヘリコバクター・ピロリ感染

ピロリ菌は胃の粘膜に住みつく細菌で、感染していても症状がないことは珍しくありません。長期間の感染は慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因となり、胃がんのリスク上昇にも関係します。症状がある場合も、胃痛や消化不良だけで感染の有無は分かりません。尿素呼気検査、便中抗原検査、または胃カメラ時に採取した組織の検査などで確認します。

感染があっても症状のない方は多く、症状の有無だけで除菌の成否を判断できません。通常は胃酸を抑える薬と複数の抗菌薬を組み合わせますが、薬剤の選択では過去に使用した抗菌薬、アレルギー、副作用、地域の耐性状況などを考慮します。処方された期間や用法を確認し、困った副作用があれば医療チームへ相談してください。治療後は呼気または便の検査などで除菌を確認することが一般的で、検査時期や検査前の薬の調整は個別に指示されます。以前の治療が不成功だった場合は、服薬状況や過去の薬の組み合わせを確認して次の方法を検討します。治療後の確認検査を受けるか、いつ行うかは自己判断せず担当者と決めてください。

診察で相談すること

どの検査が適切かは、過去の診断・治療、服用薬、胃カメラの必要性などによって異なります。陽性の場合は、過去の抗菌薬使用歴やアレルギー、地域の耐性状況などを踏まえて除菌療法を選びます。薬の組み合わせを決め、処方どおりに服用できるか確認することが大切です。治療後は適切な時期に再検査して除菌を確認することが一般的ですが、検査の時期や休薬の要否は医療従事者の個別指示に従ってください。

専門家向け参考資料: ACG · H. pylori

胃腸上皮化生

胃腸上皮化生は、胃粘膜の細胞が腸の粘膜に似た性質へ変化した状態で、通常は胃カメラ中の生検を顕微鏡で調べて分かります。この所見自体は胃がんではありません。ただし、胃がんへ至る過程の一つとして見られることがあり、将来のリスクは変化の範囲や程度、ピロリ菌感染、家族歴などによって異なります。内視鏡で見た目に明らかな異常がなくても、生検で判明することがあります。

この顕微鏡レベルの変化を確かめるには生検が必要で、胃の内側を目で見ただけでは診断できないことがあります。病理報告の採取部位や広がり、同時に見られた萎縮・炎症、ピロリ菌の有無を確認することがリスク評価に役立ちます。胃の複数の領域に変化があるか、胃がんの家族歴や本人の背景リスクがあるかなども検討材料です。追加の内視鏡が有益かどうかはこれらの要素と検査の質に基づき、全員に同じ頻度の監視が必要とは限りません。生検の採取数や部位が限られていると、胃全体の変化を完全に反映しないこともあります。報告書に記載された範囲と不確実性を確認し、ピロリ菌が見つかった場合には除菌とその確認も含めて、今後の計画を決めます。病理用語の意味やリスクの程度が分かりにくい時は、検査報告書を一緒に読みながら、追加確認が患者さんにどのような利益をもたらすかを相談できます。

診察で相談すること

病理報告書で化生の有無、採取部位、広がり、萎縮や炎症の所見を確認し、ピロリ菌検査や治療が必要かを検討します。追加の胃カメラによる経過観察が役立つかどうかは、病変の範囲、胃がんの家族歴、個人の背景リスク、前回検査の質を踏まえて相談します。すべての方に同じ間隔の検査が必要なわけではありません。所見の意味が分かりにくい場合は、病理結果と内視鏡報告を一緒に確認することが大切です。

専門家向け参考資料: AGA · Gastric intestinal metaplasia

胃排出遅延(胃不全麻痺)

胃排出遅延は、胃から腸への出口に物理的な閉塞がないのに、食べ物が胃から出ていくのが遅くなる状態です。食事の途中ですぐ満腹になる、食後の膨満感、吐き気、嘔吐、上腹部の不快感などが起こる場合があります。糖尿病、過去の手術、一部の薬などが関係することがありますが、同じ症状は胃潰瘍や機能性ディスペプシアなど別の状態でも見られ、症状だけでは判断できません。

胃の出口に閉塞がないかを確認してから胃排出検査を検討すると、診断を裏付ける情報が得られることがあります。糖尿病や一部の薬は胃の動きに影響し、検査条件も測定値に関係するため、服用薬や血糖状態を確認します。症状の強さと排出遅延の程度が必ずしも一致しないため、検査結果のみで治療方針を決めず、栄養状態や症状、考えられる原因を合わせて管理方法とフォローを相談します。食事量が保てない、体重が減る、脱水が心配などの変化も評価に重要です。診察では食事の摂取状況や血糖管理、薬の副作用を確認し、必要なら栄養面の支援や治療の調整を検討します。嘔吐が続く場合や水分を保てない場合は、予定の診察を待たず医療機関へ連絡する必要があることがあります。検査前後の薬の扱いは、検査内容と安全性に応じて担当者が案内します。

診察で相談すること

まず症状の経過、糖尿病などの病歴、服用薬を確認し、胃の出口の狭窄など別の原因がないかを評価します。必要と判断された場合には、標準化された食事を用いる胃排出検査などで、胃内容物が移動する速さを調べます。検査の結果は準備状況や薬の影響を受ける場合があり、遅延の程度と症状の強さが常に一致するわけではありません。原因、栄養状態、血糖管理などを踏まえて、個別の対策やフォローを相談します。

専門家向け参考資料: ACG · Gastroparesis

小腸内細菌異常増殖(SIBO)

SIBOは、小腸内の細菌の量や種類のバランスが変化し、細菌が過剰に増えている状態を指します。腹部膨満、ガス、腹痛や不快感、下痢などがみられることがありますが、便秘や栄養吸収への影響が生じる場合もあります。これらの症状は過敏性腸症候群や食物不耐症など多くの原因で起こるため、症状だけでSIBOとは診断できません。腸の手術歴や運動機能に関わる病気などが発症に関係することがあります。

呼気検査はSIBOの評価に用いられることがありますが、測定結果は腸管通過時間や検査前の準備、基礎疾患の影響を受け、確定診断の完全な基準ではありません。腹部膨満やガスは食事、便秘、機能性疾患などでも生じます。検査を行うか、結果をどう扱うかは、関連する病歴や症状の経過と合わせて判断します。治療を考える際には、症状の改善だけでなく、素因となる問題や再発の有無も確認します。検査前の準備や服薬の扱いは検査施設の案内によって異なるため、自己流で変更せず確認してください。検査を繰り返すかどうかも症状の経過と前回結果を踏まえて決め、抗菌薬などの治療が必要かは医師と相談します。

診察で相談すること

病歴、症状の経過、既往手術、栄養状態、関連する病気や薬を確認し、検査を行うことで対応が変わるかを考えます。呼気検査は手軽な評価方法の一つですが、測定値は腸管通過時間や検査準備などに左右され、偽陽性・偽陰性があり得ます。結果は臨床状況と合わせて解釈し、単独の検査値だけで確定しません。治療が検討される場合は、症状の改善だけでなく、原因となる状態や再発の可能性も含めて個別に方針を決めます。

専門家向け参考資料: ACG · Small intestinal bacterial overgrowth

大腸ポリープ

大腸ポリープは、大腸の内側の粘膜から隆起した病変の総称です。腺腫や一部の鋸歯状病変は、時間をかけて大きくなったり前がん病変となったりすることがありますが、ポリープには性質の異なる種類があり、すべてががんになるわけではありません。多くは症状を起こさず、大腸内視鏡の際に見つかります。安全に切除できるものは検査中に取り除き、組織を病理検査に提出することがあります。

ポリープは症状を起こさないことが多く、形や大きさ、組織の性質もさまざまです。病理検査により、将来の大腸がんリスクを考えるうえで注意が必要な腺腫・鋸歯状病変などと、リスクが低い病変を区別します。次回検査の計画は、数や大きさだけでなく、完全に切除されたか、腸管洗浄が良好で全体を明瞭に観察できたかにも左右されます。病理結果と内視鏡報告の両方を確認して、個別のフォロー時期を決めます。複数のポリープを切除した場合は、各病変の病理結果がそろってから全体のリスクを判断します。検査の視野が不十分だった場合や大きな病変を分割して切除した場合は、通常と異なる時期に再検査を勧めることがあります。報告書を保管し、家族歴や以前の検査結果も次回の相談に持参してください。切除後の出血や腹痛など、処置後の注意事項は実施した処置により異なりますので、退院時に受けた説明に従い、心配な症状があれば連絡先へ相談してください。

診察で相談すること

病理結果からポリープの種類や異形成の有無を確認し、個数、大きさ、位置、切除が完全だったかを内視鏡報告と合わせて検討します。次回の検査時期は、これらに加えて腸管洗浄の質、観察の完遂度、過去のポリープや家族歴などで変わります。大きな病変や一度に切除できない病変では、追加処置や専門施設での評価を相談する場合があります。検査報告に記載された推奨時期を確認し、個人の病歴に応じた計画を医師と決めてください。

専門家向け参考資料: ACG · Colon polyps

潰瘍性大腸炎(UC)

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に生じる慢性炎症性腸疾患で、通常は直腸から連続して広がります。下痢、血便や粘液便、便意切迫、腹部不快感などが起こり、活動期と落ち着く時期があります。

潰瘍性大腸炎は通常、直腸から連続して広がるため、内視鏡と生検で炎症の範囲や組織の状態を評価します。症状と炎症の程度が一致しない場合もあり、経過に応じて便や血液のマーカーも参考にします。病歴や炎症範囲によって大腸がん監視の計画が変わることがあります。

診察で相談すること

症状、診察、血液・便検査に加え、必要に応じて内視鏡と生検を組み合わせて評価します。炎症の範囲や程度、栄養状態、合併症を確認し、クローン病など他の大腸炎と区別します。長期的には病歴に応じて治療反応や大腸がんリスクも検討します。

専門家向け参考資料: ACG · Inflammatory bowel disease

クローン病

クローン病は消化管のどの部位にも起こり得る慢性炎症性腸疾患で、小腸や大腸に多くみられます。炎症は腸壁の深い層に及び、正常な部分を挟んで分布することがあります。腹痛、下痢、疲労、体重減少のほか、狭窄、膿瘍、瘻孔などを生じることがあります。

クローン病は消化管のどこにも生じ得るため、内視鏡だけでは小腸全体を評価できないことがあり、画像検査を組み合わせる場合があります。深い炎症は狭窄、瘻孔や膿瘍などにつながることがあり、必要に応じてこれらを確認します。症状、検査値、内視鏡や画像を合わせて経過を評価します。

診察で相談すること

症状、血液・便検査、内視鏡生検、必要に応じた小腸画像検査を総合します。炎症の部位と活動性、栄養への影響、合併症を評価し、感染症など他の原因も検討します。経過観察では症状だけでなく、検査値や内視鏡・画像所見を用いる場合があります。

専門家向け参考資料: ACG · Inflammatory bowel disease

セリアック病(グルテン関連腸症)

セリアック病は、遺伝的素因のある人でグルテンに対する免疫反応が起こる病気です。小腸粘膜を傷つけ、栄養吸収に影響することがあり、下痢、腹部膨満、腹部不快感、貧血などを生じますが、消化器症状が目立たない場合もあります。

セリアック病の抗体検査や生検は、グルテンを含む食事を続けていたかなど検査時の条件が結果に影響します。栄養不足の評価や、診断後に症状・血液検査がどう変化するかの確認が行われることもあります。検査結果は症状と病理所見を含めて解釈します。

診察で相談すること

セリアック病に関連する血液検査を行い、多くの成人では上部内視鏡による小腸生検も検討します。検査前にグルテンを避けると結果に影響し得るため、検査条件を含めて解釈します。栄養不足や関連疾患を確認し、血液検査だけで診断が確定するとは限らない点も考慮します。

専門家向け参考資料: ACG · Celiac disease

痔核(痔)

痔核は肛門管の血管クッションに症状が生じた状態です。内痔核は痛みのない鮮血や脱出を起こすことがあり、外痔核では腫れや痛みを伴うしこりがみられることがあります。直腸出血を痔だけのせいと決めつけることはできません。

痔核は一般的ですが、肛門からの出血には他の大腸・直腸の原因もあり、年齢、病歴や診察所見を踏まえて判断します。肛門鏡で内痔核を確認できることがありますが、出血が続く場合や典型的でない場合は追加評価が必要となることがあります。

診察で相談すること

出血、痛み、排便習慣、診察所見や病歴を確認し、視診や肛門鏡検査を行う場合があります。出血が続く場合や典型的でない場合は、他の原因の評価も検討します。対応は症状の程度と痔核の種類に応じて検討されます。

専門家向け参考資料: ASCRS · Management of hemorrhoids
02 / 08

食道

好酸球性食道炎(EoE)

EoEは、食道の粘膜に好酸球という白血球が集まる慢性の免疫性炎症です。飲み込みにくさ、食物のつかえや嵌頓、逆流に似た症状を起こすことがあり、小児では食事や成長に影響することもあります。

内視鏡で食道が正常に見えてもEoEが存在することがあるため、疑われる場合は複数部位からの生検が重要です。好酸球の数と分布を症状や他の原因と合わせて判断し、時間とともに狭窄が生じていないかも評価します。フォローでは症状と組織所見の両方を確認する場合があります。

診察で相談すること

診断には食道機能障害の症状、食道生検での好酸球増加、他の原因の検討が必要です。内視鏡で正常に見えても病変がある場合があるため、複数の部位から生検を行うことが重要です。狭窄の有無や症状・組織所見の変化も評価します。

専門家向け参考資料: ACG · Eosinophilic oesophagitis

食道運動障害

食道運動障害は、嚥下時の食道の動きや協調に異常がある状態を広く指す言葉で、単一の診断名ではありません。嚥下困難、胸部不快感、逆流などがみられることがありますが、狭窄、炎症、逆流などでも似た症状が起こります。

高解像度内圧検査は嚥下時の圧力パターンを記録して食道運動を分類しますが、粘膜の炎症を直接示したり、狭窄を除外したりする検査ではありません。内視鏡や画像検査が先行または併用される場合があり、境界的な圧力パターンは症状と検査条件を考慮して解釈します。

診察で相談すること

必要に応じて内視鏡や画像検査で構造・粘膜の原因を検討します。高解像度食道内圧検査は嚥下時の圧と協調を測定し運動パターンを分類しますが、症状や他の所見と合わせて解釈します。

専門家向け参考資料: ACG · Oesophageal physiologic testing

食道アカラシア

食道アカラシアは、下部食道括約筋が十分に弛緩せず、食道の正常な蠕動も失われる比較的まれな運動障害です。固形物と液体の両方の嚥下困難、逆流、胸部不快感、体重減少などが起こることがあります。

食道内圧検査は、アカラシアに特徴的な括約筋の弛緩障害と正常な蠕動の消失を調べる中心的な検査です。内視鏡は機械的な閉塞などを除外し、時間を計ったバリウム検査は食道の排出を評価します。それぞれ異なる情報を補い合います。

診察で相談すること

内視鏡で閉塞などを除外し、高解像度内圧検査で特徴的な運動パターンを評価します。時間を計ったバリウム食道造影は食道排出を調べる補助となり、検査結果を総合して診断と病型を判断します。

専門家向け参考資料: ASGE · Achalasia guideline
03 / 08

膵臓の機能

膵外分泌機能不全(PEI)

PEIは、腸内の膵消化酵素が通常の消化に十分でない状態です。脂肪などの吸収に影響し、油っぽく流しにくい便、下痢、体重減少、栄養不足が生じることがありますが、他の膵臓・腸疾患などでも似た症状が起こります。

便中エラスターゼは膵酵素分泌を間接的にみる検査で、水様便では低値に見えることがあるため結果の解釈に注意します。画像は膵臓の形態を調べますが、消化酵素が十分に働いているかを直接測定しません。必要に応じて栄養状態や他の吸収不良の原因も確認します。

診察で相談すること

膵疾患や手術歴、症状、体重と栄養状態を確認します。便中エラスターゼ検査がよく用いられますが、水様便では結果が影響を受けることがあります。画像検査は膵臓の構造を評価しますが、消化機能そのものを測定する検査ではありません。

専門家向け参考資料: UEG et al. · Pancreatic exocrine insufficiency guideline
04 / 08

脳腸相関・排便機能

脳腸相関の障害(DGBI)

脳腸相関の障害(DGBI)は、消化管と脳・神経系との間で行われる情報のやり取りや処理の変化が関わる病気の総称です。腸の動き、内臓からの感覚、信号への反応などが影響し、腹痛、張り、便通の変化、吐き気などの実際の症状が生じることがあります。一般的な検査で構造的な異常が見つからない場合でも、症状が想像上という意味ではありません。IBSや機能性ディスペプシアなどが代表例です。

DGBIという用語は消化管と脳・神経系の情報伝達や反応を説明するもので、症状が想像上、あるいは純粋に心理的なものという意味ではありません。腸の感覚や運動、信号の処理の違いが、痛みや便通変化などに影響することがあります。IBSを含め病型によって評価と対応は異なります。検査で他の病気を除外する必要性も症状と病歴に応じて判断し、生活上の工夫や薬などを本人の困りごとに合わせて検討します。睡眠、食事、ストレス、過去の治療が症状にどう関係するかを共有すると、本人にとって実行可能な対応を選びやすくなります。症状が長引く場合も、変化を定期的に振り返り、診断を見直す必要性や複数の支援を組み合わせる方法を相談できます。治療の目標は症状を完全になくすことだけでなく、日常生活で困る場面を減らすことなど、本人が大切にしたいことを基準に設定できます。

診察で相談すること

診断では、症状が始まった時期や続き方、食事・排便との関係、生活への影響を整理し、症状に応じて他の病気を調べる必要性を判断します。すべての方に広範な検査が必要なわけではありませんが、出血、発熱、意図しない体重減少、進行する症状などがあれば別途評価します。対応は一つに決まらず、食事や生活の工夫、症状を標的とする薬、腸と脳の相互作用を支える方法などを、病型と本人の希望に合わせて組み合わせて検討します。

専門家向け参考資料: Rome Foundation · Disorders of gut-brain interaction

過敏性腸症候群(IBS)

IBSでは、繰り返す腹痛が排便と関連したり、便の回数や形の変化を伴ったりします。下痢が中心の方、便秘が中心の方、両方を行き来する方など、排便パターンはさまざまです。腹部膨満や排便後もすっきりしない感じを伴うこともあります。脳腸相関の障害の一つであり、腸に炎症や潰瘍を起こす炎症性腸疾患とは異なる病態ですが、症状が重なることはあります。

IBSは主な排便パターンに応じて、下痢型、便秘型、混合型などに分類されることがあり、経過中に型が変わる方もいます。IBS自体は炎症性腸疾患にみられる腸の炎症を起こしませんが、症状が重なる場合や別の病気が併存する場合があります。診断後も、新たに現れた出血、発熱、体重減少、夜間に目覚める症状などは別途評価が必要です。治療は排便型や最もつらい症状に合わせて調整し、反応を確認しながら見直します。便の形や回数、痛みが起きるタイミングを一定期間記録すると、診断や治療反応を整理する助けになります。食事制限を始める場合は栄養の偏りを避けるため、必要に応じて専門家と相談し、効果が乏しい方法を長期間続けないようにします。

診察で相談すること

診断には、症状の特徴、期間、排便との関係、食事や薬との関連を確認します。年齢や病歴、診察所見によって血液・便検査や内視鏡などが適切かを判断し、警告症状の有無を確かめます。IBSの症状や経過には個人差があるため、便通の型や最も困っている症状に合わせて食事の見直し、生活上の工夫、薬物療法などを選びます。新たな症状や以前と異なる症状が現れた場合は、既にIBSと診断されていても改めて相談してください。

専門家向け参考資料: ACG · Irritable bowel syndrome

機能性便秘

機能性便秘では、硬い便、排便回数の減少、強いいきみ、便が残る感じ、肛門付近で詰まる感じなどが続きます。排便回数だけでなく、便の硬さや出しやすさ、排便にかかる負担も重要です。検査で明らかな構造的原因が見つからないこともありますが、薬の副作用、食事や水分、活動量、内分泌・代謝の問題などが関係する場合があります。

便秘は排便の頻度だけで定義されず、便の硬さ、いきみ、残便感、肛門付近でのつかえも重要な手掛かりです。骨盤底筋が排便時に適切にゆるまない場合、単に便を柔らかくする方法だけでは十分でないことがあります。薬剤、食事、他の病気も確認し、症状に応じて評価や治療を選択します。排便の記録や治療への反応を診察で共有すると、追加検査や骨盤底機能への支援が適切か検討しやすくなります。市販薬や下剤を使っている場合は、種類と使用頻度を伝えると安全な見直しに役立ちます。急に便通が変化した場合や、腹痛・出血などを伴う場合には、単なる便秘と決めつけず別の原因を評価することがあります。生活上の取り組みや薬の効果は人によって違うため、便通の変化と副作用を確認しながら、無理のない方法へ調整することが大切です。

診察で相談すること

症状の期間、便の形、排便習慣、服用薬、食事、他の病気を確認し、必要に応じて追加検査を検討します。いきんでも出にくい、指で補助する、排便後も強い残便感がある場合は、骨盤底筋と排便の協調に問題がないかが評価の手掛かりになります。対応は原因と症状に応じて選び、便通を整える方法や薬、骨盤底機能への専門的な支援などを相談します。出血や体重減少など新たな所見がある場合は別の評価が必要です。

専門家向け参考資料: AGA / ACG · Chronic idiopathic constipation
05 / 08

胆嚢

胆石

胆石は胆嚢の中にできる固形物で、画像検査で偶然見つかることも多く、症状がない方もいます。石が胆嚢の出口を一時的に塞ぐと、右上腹部やみぞおちに痛みが起き、背中や右肩へ広がることがあります。胆管に石が移動して胆汁の流れを妨げると、黄疸、胆管炎、膵炎などにつながる可能性があります。無症状の胆石と、繰り返す痛みや合併症を伴う胆石では対応が異なります。

胆嚢結石は一般に超音波検査で確認しますが、胆管内の結石や胆管の状態をさらに調べるため、状況により別の画像検査が必要になることがあります。総胆管へ移動した石は胆汁の流れを妨げ、黄疸、感染、膵炎を起こすことがあります。偶然見つかった無症状の胆石と、典型的な痛みや合併症を伴う結石では対応が異なります。痛みの経過、発熱や黄疸の有無、血液検査と画像を総合して、観察か治療かを相談します。食事との関連だけで胆石が痛みの原因と決められないため、痛みの場所や長さ、繰り返し方も伝えてください。症状がない場合も、画像所見や他の健康状態を踏まえて今後の対応を確認します。

診察で相談すること

痛みの場所や続く時間、発熱・黄疸の有無、診察所見、超音波などの画像、肝胆道系の血液検査を総合して評価します。必要に応じて胆管の石を調べる追加画像検査や、胆嚢・胆管に対する治療を検討します。症状のない胆石は直ちに処置を要しないことがありますが、症状の反復や合併症の有無により方針は変わります。強い持続痛、発熱、黄疸が現れた場合は速やかな医療評価が必要です。

専門家向け参考資料: ACG · Gallbladder and gallstone disorders

胆嚢ポリープ

胆嚢ポリープは胆嚢の内側から壁に沿って突出して見える病変で、腹部超音波検査で偶然見つかることがよくあります。コレステロールの沈着など良性のものが多い一方、画像上の形だけでは組織の種類を確実に区別できず、一部には腫瘍性の病変も含まれます。「ポリープ」という名称だけではがんの可能性や緊急性は判断できず、大きさや形、背景リスクを考慮します。

ポリープのように見える病変には、真の腫瘍ではなくコレステロール沈着などが含まれます。通常の超音波だけでは組織の種類を確実に決められないことがあるため、過去画像との比較や大きさ・形の変化、胆嚢壁の状態、個人の危険因子が判断に役立ちます。画像所見の測定にはばらつきもあり、単一の数値だけで結論づけず、必要な場合は追加の画像評価や外科的意見を検討します。追跡の要否と間隔は所見に合わせて決めます。腹部超音波は検査条件や観察者によって測定値が変わることがあるため、可能なら同じ病変の過去画像を並べて比較します。大きさが変化したとの報告があれば、測定差か実際の増大かを確認し、次の検査や紹介の必要性を相談してください。胆嚢の痛みなど別の症状がある場合は、ポリープが原因とは限らないため、胆石や他の腹部疾患も含めて評価します。

診察で相談すること

超音波報告の大きさ、付着の形、胆嚢壁の状態を確認し、過去の画像と比べて増大しているかを評価します。年齢、胆嚢疾患の背景、地域や個人のリスク要因も判断材料となります。一定期間後の画像検査で変化を確認するか、外科的評価が望ましいかは所見の組み合わせによって異なります。検査間隔は一律ではないため、報告書と既往歴を踏まえて個別の計画を相談してください。

専門家向け参考資料: ESGAR / ESGE et al. · Gallbladder polyps

胆嚢摘出後の症状

胆嚢摘出後に続く、または新たに生じた消化器症状を、胆嚢摘出後症候群と総称することがあります。これは特定の一疾患を示すものではなく、胆管結石の残存・再発、胆管の問題、逆流、腸機能の問題など多様な原因が考えられます。

胆嚢摘出後の症状は、胆管結石だけでなく消化管や他の臓器の病気など多様な原因から生じます。診察では症状の時期や性質、手術記録、血液検査や胆道画像を照合し、胆道以外のよくある原因も検討します。ERCPなど侵襲的な検査は、結果が対応を変える明確な理由がある場合に検討されます。

診察で相談すること

手術の理由、症状の時期や特徴、手術記録、診察所見および必要な血液・画像検査を確認します。胆道以外の一般的な原因も評価し、症状だけで括約筋の病気と判断しません。侵襲的な検査にはリスクがあるため、追加検査は所見に基づいて検討します。

専門家向け参考資料: ASGE · Biliary tract disorders and choledocholithiasis
06 / 08

肝臓・膵臓の嚢胞

肝嚢胞

肝嚢胞は肝臓内にできた液体を含む袋状の病変で、超音波やCT、MRIで別の目的の検査中に偶然発見されることがあります。薄い壁で内部が均一な液体に見える典型的な単純嚢胞は、通常は良性で症状を起こさず、治療を要しないことが多いです。一方、壁の厚さや隔壁、内部の成分などが典型的でない場合は、単純嚢胞以外の可能性を検討します。

単純嚢胞は画像上、通常は薄い壁に囲まれた液体の空間として見え、症状を起こさないまま経過することもあります。内部の隔壁、壁の不整や厚さ、充実部分などの非典型的特徴があれば、単純嚢胞とは異なる病変の可能性を評価します。報告書に記載された画像の特徴が判断の中心で、嚢胞が見つかっただけで処置が必要とは限りません。症状との関連が明確でない場合もあるため、必要な追加画像や経過観察を病歴とともに相談します。肝臓に複数の嚢胞がある場合や、肝疾患の既往がある場合は、単純嚢胞としてよいかを個々に確認します。痛みなどの症状がある場合も、嚢胞が原因とは限らないため他の説明を検討し、処置の利益と不利益を比較して方針を決めます。

診察で相談すること

画像の特徴、嚢胞の大きさや変化、腹部症状、肝臓の病歴を確認します。非典型的な所見がある場合は、より詳細なCTやMRIなどで性状を調べることがあります。単純嚢胞と判断できる場合に、必ずしも定期画像検査や処置が必要とは限りません。まれに大きさや位置に関連した症状が疑われることもあるため、画像報告と症状が一致するかを含め、追加評価やフォローの要否を医師と個別に相談してください。

専門家向け参考資料: ACG · Focal liver lesions

膵嚢胞

膵嚢胞は膵臓の中または周囲に見つかる液体を含む病変の総称で、画像検査中に偶然発見されることがあります。過去の膵炎に伴うものや、膵管とつながる嚢胞性病変など複数の種類があり、それぞれ将来の変化や悪性化の可能性が異なります。多くはすぐに症状を起こしませんが、腹痛や膵炎に関連する場合もあります。見つかったというだけでがんを意味するものではありません。

膵嚢胞には過去の膵炎に関連したものや、膵管と交通する病変、嚢胞を形成する腫瘍など複数の種類があります。MRI/MRCPは膵管との関係を評価するのに役立ち、選択された場合には超音波内視鏡で壁や内部の特徴を詳しく調べることがあります。大きさだけでなく、増大速度、膵管の変化、結節や充実成分、症状や膵炎歴を合わせて判断します。画像で嚢胞が見つかったからといって必ず手術になるわけではなく、経過観察の方法もリスクと全身状態に応じて決まります。異なる施設の画像を比較する際は、撮影方法や測定方向の違いが見かけの大きさに影響することがあります。画像報告書や以前の検査データをそろえて確認すると、変化をより適切に判断できます。経過観察を続けるか終了するかも、年齢、健康状態、本人の希望と合わせて定期的に見直します。検査を追加するかは結果が管理方法を変える可能性を考慮して決め、負担や期待できる情報も含めて説明を受けることができます。

診察で相談すること

嚢胞の種類、大きさ、経時的な増大、膵管の拡張、壁の結節や充実成分の有無、膵炎歴などを画像報告とともに確認します。必要に応じてMRI/MRCPや超音波内視鏡などで詳しく評価し、追加検査の情報が管理方針を変えるかを検討します。リスクが低い所見では画像による経過観察が選ばれることがあり、変化や高リスク所見があれば専門的評価を相談します。追跡の間隔や期間は病変の特徴と健康状態に合わせて決めます。

専門家向け参考資料: ACG · Pancreatic cysts
07 / 08

ウイルス性肝炎

B型肝炎

B型肝炎はB型肝炎ウイルスが肝臓に感染して起こる病気です。感染が長く続いても症状がないことがありますが、ウイルスの活動性や肝臓の状態によっては慢性炎症や線維化が進み、肝硬変や肝細胞癌のリスクが高まります。血液検査では感染の状態、ウイルス量、肝機能など複数の項目を確認します。単回の検査だけで経過全体を判断できるとは限りません。

B型肝炎ウイルスは血液や性接触を介して、また出産前後に母親から子どもへ感染することがありますが、食器の共有や日常的な接触では通常感染しません。慢性感染では肝硬変がなくても肝細胞癌(HCC)が発生することがあるため、感染の段階に応じた評価が大切です。血液検査のウイルスマーカーやウイルス量、肝機能は時間とともに変化することがあり、単回の結果だけでは治療適応や経過を決められません。定期検査や肝がん監視の必要性は個別に相談します。家族やパートナーの検査、ワクチン接種が適切かどうかも、感染状況を踏まえて医療従事者に確認できます。免疫を抑える治療を始める予定がある場合は、ウイルス再活性化のリスク評価が必要になることがあるため、事前に感染歴を共有してください。診察時には以前の血液検査の推移も確認し、治療開始の判断や次回確認までの計画を共有しておくと、継続的な管理につながります。

診察で相談すること

過去の検査、家族歴、肝機能、ウイルス量、肝臓の線維化評価などを合わせ、経過観察と抗ウイルス治療の必要性を検討します。すべての方に直ちに治療が必要なわけではありませんが、状態が変わることがあるため定期的な評価が重要です。肝がんの画像検査が推奨されるかどうかも年齢、肝硬変、家族歴などに応じて決まります。薬の適応や検査計画は個別に相談し、自己判断で治療を中断しないでください。

専門家向け参考資料: AASLD · Hepatitis B

C型肝炎

C型肝炎は主に血液を介して感染するウイルス性肝疾患です。慢性感染が続くと、長い時間をかけて肝臓に炎症や線維化を起こすことがあります。抗体検査は過去または現在のウイルス曝露を示しますが、現在感染しているかどうかはウイルスRNA検査で確認します。現在は直接作用型抗ウイルス薬による治療で、多くの患者さんがウイルスを排除できます。

抗体検査陽性だけでは現在もウイルスが体内にいるか、過去に感染して自然または治療により排除されたかを区別できず、RNA検査で現在感染を確認します。直接作用型抗ウイルス薬は高い治癒率が期待できますが、治療前には肝臓の状態、過去の治療、併用薬や他の感染症などを確認します。治療後にウイルスRNAが検出されないことを確認しても、すでに肝硬変がある方では肝がんのリスクが残ることがあります。その場合は治癒後も継続的な画像検査などが必要か相談します。ウイルス排除後も抗体検査は陽性のまま残ることがあり、再感染の有無を調べる際にはRNA検査を用いることがあります。治療薬の飲み合わせや処方日数を確認し、治療中に新しい薬を始める場合は担当者へ知らせてください。治療の前後で肝機能やウイルス量がどう変わったかを記録し、治癒確認の結果や、その後も必要な肝臓の検査について説明を受けましょう。

診察で相談すること

抗体陽性の場合はRNA検査で現在感染の有無を確かめ、感染が確認されたら肝機能や線維化の程度、過去の治療歴、併用薬などを評価します。治療薬の選択や期間は個別の条件によって異なるため、薬剤相互作用も含めて医師と確認します。治療後にはウイルスが排除されたかを検査で確認します。すでに進行した線維化や肝硬変がある場合、治癒後も肝がんなどの合併症を継続して確認する必要があることがあります。

専門家向け参考資料: AASLD · Hepatitis C
08 / 08

慢性肝疾患

肝線維化

肝線維化は、慢性的な肝臓の炎症や損傷に対する反応として、肝臓に瘢痕組織が増える状態です。原因や程度によって軽度から進行した段階まであり、進行すると肝臓の構造や働きに影響し、肝硬変に至ることがあります。初期の線維化は自覚症状がないことが多いため、肝疾患の原因や危険因子を踏まえた評価が役立ちます。

線維化と肝硬変は同じではなく、肝硬変はより進行した瘢痕化と構造変化を指します。血液検査のスコアや肝硬度測定などの非侵襲的検査は、瘢痕を直接一つずつ数えるのではなく、臨床的に重要な線維化の可能性を推定します。炎症や他の一時的な状態が数値に影響する場合があるため、単独の結果だけで診断を確定しません。原因、血液所見、画像、経時的な変化を合わせて解釈し、再検査や追加評価の時期を相談します。異なる種類の検査結果が一致しないこともあり、その場合は測定条件や肝疾患の活動性を見直します。肝生検は侵襲を伴うため、非侵襲的検査で答えが得られず結果が治療判断を変える見込みがある場合などに、利益とリスクを相談して検討します。線維化が疑われる場合には、原因となる肝疾患への対応で進行を抑えられる可能性があるため、評価結果を具体的な管理方針へ結びつけます。

診察で相談すること

血液検査に基づくスコアや超音波エラストグラフィなどの肝硬度測定は、進行した線維化の可能性を推定する非侵襲的な方法です。これらは瘢痕組織を直接一つずつ測る検査ではなく、炎症、胆汁うっ滞、食事やその他の状態が結果に影響することがあります。検査値は肝疾患の原因、血液所見、画像、病歴と合わせて解釈します。結果に応じて原因への対応や再評価の時期を相談し、肝生検が必要かは他の評価で解決しない場合などに個別に検討します。

専門家向け参考資料: AASLD · Noninvasive liver assessment

脂肪肝(脂肪性肝疾患)

脂肪性肝疾患は、肝細胞に過剰な脂肪が蓄積した状態です。糖尿病、血圧や脂質の異常、過体重などの代謝要因と関連することが多く、飲酒や薬剤など別の要因が関わる場合もあります。画像で脂肪肝が見つかっても、すべての方に炎症や進行した線維化があるわけではありません。肝機能の血液検査が正常でも、線維化が完全に否定できるとは限りません。

肝臓の脂肪蓄積に代謝リスク要因が伴う場合、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)に該当することがありますが、飲酒や他の原因も評価します。肝脂肪がある方全員に炎症や進行した瘢痕化があるわけではなく、超音波で脂肪が見えても線維化の程度は分からない場合があります。肝機能の血液検査が正常でも線維化を完全には否定できません。代謝状態や他のリスクと合わせて線維化を評価し、生活面の支援やフォローの方法を個別に検討します。血圧、血糖、脂質などの管理も肝臓だけでなく全身の健康に関わるため、必要に応じて他の担当医と連携します。生活習慣の目標は急激な減量を勧めるものではなく、実行可能性や併存疾患を考慮して設定し、継続的に見直します。脂肪肝という画像所見だけで薬やサプリメントを始めたり、服用中の薬を中断したりせず、肝臓以外の病気も含めて安全な方法を確認してください。

診察で相談すること

飲酒、服用薬、代謝に関わる健康状態、肝炎ウイルスなど他の原因を確認します。血液検査や画像、線維化リスクを推定するスコア・肝硬度測定などから、追加評価や専門的フォローの必要性を判断します。代謝リスクの管理や生活習慣への取り組みが役立つことがありますが、目標や方法は体重、併存疾患、本人の状況に合わせて相談します。病名だけで重症度を決めず、経過を確認しながら必要な検査や支援を調整します。

専門家向け参考資料: AASLD · Steatotic liver disease

肝硬変

肝硬変は、慢性的な肝障害による瘢痕化が進み、肝臓の構造と血流が変化した状態です。初期には自覚症状が乏しいこともありますが、病状が進むと腹水、黄疸、意識や睡眠の変化、食道・胃の静脈瘤からの出血などが起こる可能性があります。また、肝細胞癌のリスクも高まります。原因にはウイルス性肝炎、脂肪性肝疾患、アルコールなどがあり、複数の要因が関与することもあります。

医師は、重大な合併症がまだ起きていない代償性肝硬変と、腹水、黄疸、静脈瘤出血、肝性脳症などの合併症が生じた非代償性肝硬変を区別します。門脈圧亢進症は食道・胃静脈瘤や腹水の一因となることがあります。肝細胞癌(HCC)のリスクも継続的な評価が必要となる理由の一つです。病状は変化し得るため、原因治療とともに合併症の有無を定期的に確認し、必要な画像検査や内視鏡検査を相談します。服用薬や市販薬、サプリメントの中には肝臓や腎臓に影響するものがあるため、新たに使用する前に確認してください。検査の頻度は肝機能や過去の合併症、治療内容により異なり、症状が安定している場合も定期診察を続けることが重要です。

診察で相談すること

原因、肝臓の合成機能や血液検査、画像所見、過去または現在の合併症を確認して病状を評価します。代償性か、腹水や出血などを伴う非代償性かによって必要な支援は異なります。原因への治療、薬の見直し、静脈瘤や肝がんの検査、栄養面の支援などを個別に計画し、定期的なフォローで変化を確認します。腹部の急な腫れ、吐血・黒色便、黄疸、混乱などが現れた場合は、早急な医療評価が必要です。

専門家向け参考資料: AASLD · Cirrhosis care

自己免疫性肝炎(AIH)

AIHは免疫機序による肝臓の炎症です。症状がない場合もあれば、疲労や黄疸がみられたり、肝機能検査の異常から見つかったりします。炎症が続くと線維化や肝硬変に進むことがありますが、単独で診断を確定する抗体や検査はありません。

AIHは血液検査、免疫学的検査、他の原因の除外を組み合わせて診断し、必要な場合には肝生検を行います。自己抗体の有無だけで診断は確定せず、検査結果が陰性でも疑いが残ることがあります。炎症や線維化の程度は経過とともに評価します。

診察で相談すること

肝酵素、免疫グロブリン、自己抗体、他の原因の除外などを総合し、肝生検を検討することもあります。自己抗体は別の病気でもみられ、AIHでも陰性の場合があるため、所見全体を解釈します。炎症や線維化の程度、関連する自己免疫疾患、継続的な経過観察の必要性も評価します。

専門家向け参考資料: AASLD · Autoimmune hepatitis

原発性胆汁性胆管炎(PBC)

PBCは肝臓内の小さな胆管が徐々に障害される慢性の自己免疫性疾患です。胆汁の流れへの影響から肝機能検査異常、かゆみ、疲労がみられることがありますが、発見時に症状がない人もいます。

PBCは胆汁うっ滞型の肝機能異常と抗ミトコンドリア抗体の組み合わせから診断されることが多く、胆管閉塞など他の原因を除外します。典型的な場合に生検が常に必要とは限らず、診断が不明な場合などに追加評価を検討します。経過観察では肝機能や線維化の変化を確認します。

診察で相談すること

胆汁うっ滞型の肝機能検査、抗ミトコンドリア抗体などを確認し、他の原因を検討します。画像検査で胆管や他の肝疾患を評価し、診断が不確かな場合などに限り生検を検討します。経過観察では肝機能の推移、線維化や合併症を確認します。

専門家向け参考資料: AASLD · Primary biliary cholangitis
一般情報であり、個別の診断ではありません

この要約は一般的な情報提供を目的としており、診断を確定したり、検査・経過観察・治療の必要性を判断したりするものではありません。個々の検査結果、リスク、選択肢は、資格を有する医療従事者との診察で確認する必要があります。このページをもとに、ご自身の判断で治療を開始・中止・変更しないでください。

参考資料は背景情報としてご覧ください。診察に代わるものではありません。

画像、血液検査、内視鏡の報告について気になる点がありますか?報告書全体と病歴を診察時にご相談ください。

診察を予約する